昨日の「重力のおかげで、人間は健康で生きていられる」という内容の記事の最後に、

『運動は根本的な解決にならない』と書きました。

宇宙飛行士の例えを挙げて、無重力環境では「加齢現象」と同様の衰えが見られることから、

重力があるおかげで、健康が維持できていることがわかります。


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ここで、疑問がわきます。

重力が大事なのはわかった、

座っているばかりではマズイこともわかった、

では、1日に最低でもどのくらいの時間たっていればいいのか?

どのくらい肉体労働のようなことをすればいいのか?




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一つ実験があります。

4日間ほど、ベッドに横たわり続けていると、明らかな兆候が現れます。

もっともその前に、24時間以内に、起立性低血圧症(立ち上がった時にめまいや失神する)が見られ、血液量が減少します。

さらに尿として排出されるカルシウムも減少します。

骨量の減少は遅くとも3〜4日で兆候が現れ、ほぼ同じ期間に有酸素能力も最大25%も減少します。

重力の恩恵を受けないでいると、これだけの体の変化が起きます。

高齢者が1週間も入院してしまったらどれだけ体力レベルが落ちるか、皆さんの想像以上です。

ちなみにうちの父が1週間入院し、退院した直後、床から立ち上がるのに30分もかかって唖然としました。






先ほどの疑問に対して先に答えを言います。

大切なことは「長時間立ち続ける」ことではなく、「頻繁に立ち上がること」です。




立ち上がるたびに、

・筋肉が収縮する
・血液、血液量、ホルモンに変化が起きる
・身体中の神経が刺激される

のです。


1日に16回立ち上がって、2分間そのまま立っていたら、身体はそれを16回の刺激として感知します。

1回立ち上がって32分間そのまま立っていると、1回の刺激としてしか感知しないのです。

だから、連続時間は短くてもいいから、頻度を多くすることが大事です。





運動はすればするほどいいと思い込んでいる人は多いですね。

模範的な答えは「週に3〜4回、1時間くらい」といったところです。

では、その模範的な回答をした人は、残りの23時間は何をしているのでしょうか?

睡眠が7時間とすれば、残りの16時間は???

そう返すと、ほとんどの人は「え〜もっと運動の時間を増やすの?無理だよ〜」と内心思うでしょう

そうじゃないんです

『違う種類の努力』が必要になります。

汗をかいたり、心拍数を上げたり、ウエイトを上げ下げする努力でなく、

『生活の中で1日を通してできる強度の低い小さな動作』

『重力を使うこと(重力に逆らう)に関係する動作』


をどれだけ増やせるか

なのです。


あまりにも当たり前すぎて、シンプルすぎて、そんなことが大事なの?と思う人も多いかと思いますが、

大体、真理や本質はそんなものです。



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もう一つ、伝えておきます。

「非運動性活動熱産生」という言葉があります。

通称NEAT(ノン・エクササイズ・アクティビティ・サーモジェネシス)。

日常生活における運動時以外のエネルギー消費を意味する言葉です。

日常生活で消費するエネルギー全体において、立ち上がったり、物を取ったりというNEATは、

ウォーキング、ランニング、ジムトレーニングといった強度の高い運動よりもずっと大きな割合を占めています。

NEATは小さく短い動きではあっても1日を通して頻繁に筋肉を働かせることになります。

もっとも効果的・効率的なのは、『姿勢を変えること』。

・立ち上がる
・座る
・横になる
・物を拾うためにかがむ
・うずくまる
・しゃがみ込む
・四つ這いになって床を拭く
・棚の上のもの取るために体と腕を伸ばす
・服を脱ぎ着する
・ベッドを整える
・食事を作るために鍋をかき混ぜる
・座っているときに脚を組んだり解いたり
・身振り手振りで話をする
・貧乏ゆすりをする

これ以外にも書き出したらいくらでも日常の動作はあります。

日頃から体を動かす習慣のない人は、実はこのような「姿勢を変える」動きが十分にされていなことが多いのです。





早とちりしてほしくないのですが、ウォーキング、ランニング、ジムトレーニングといった比較的強度の高い運動をしないでいい、ということではありません。

『姿勢を変える』ような小さな頻度の高い動きは、赤筋という筋肉を使います。

人の筋肉は大まかに分けて「赤筋と白筋」があります。

ざっくり説明すると、

赤いのは主に「姿勢を作る筋肉」です。

白いのは「動作をする筋肉」です。




『白筋』は加齢とともに減少してしまう性質上、積極的にトレーニングして減らさないように、また増やすようにしなくてはならないので、これはまた別の機会に。




なんでも「これだけやっておけばいい」といった考え方はよくありません。

これも、あれも、そこそこ大事、と中庸の考え方をしてくださいね。





結論。

1、『姿勢を変える』ような小さな動作を毎日毎日頻度高く

2、少し強度高めのエクササイズを計画的に



となります。



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