薬は病気を治しませんが、抗生物質だけは少しだけ話が異なります。

抗生物質は20世紀最大の発見と呼ばれた薬です。

「神の薬」「救世主」とも称えられたほど、多くの命を救ってきました。



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抗生物質とは、細菌の増殖を抑えたり殺したりする薬剤のこと。

主に、微生物が産出した物質から作られます。

最近は「抗菌薬」と呼ばれることも多くなってきたようです。





世界最初の抗生物質は、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングが1928年にアオカビから発見した「ペニシリン」です。

その後、数々の抗生物質が製造されて、細菌による感染症の治癒に絶大な力を発揮してきました。

日本の場合、戦前の死因は

1、結核
2、肺炎・気管支炎
3、脳血管障害
4、胃腸炎

その他、髄膜炎・脳炎、梅毒、かっけ、はしか、破傷風、虫垂炎・腹膜炎、百日咳、

などが上位に上がっています。


今の病気と比べると、随分と違います。

がんや脳卒中などの、死に直結する病気がいかに「食事の問題」からきている生活習慣病だということが分かりませんか?




昔の病気は公衆衛生や栄養状態も悪かったことと、過酷な生活環境が原因で、

細菌が
抵抗力の弱った体に対して猛威を振るった結果、です。

疫病は一旦流行すると、瞬く間に広がり、死亡者を増加させました。

疫病は命に関わるので、その脅威から人類を救ってくれた一つが抗生物質でした。



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ところが人類は、この薬の使い方を誤りました。

効力が高いがゆえに、濫用するようになりました。

抗生物質が効くのは細菌感染のみ、です。

風邪は感染症の一つですが、原因のほとんどがウイルスです。

細菌とウイルスをごちゃ混ぜにしている人が多いのですが、全くの別物です。





先進諸国では、抗生物質の力を過信し、ウイルスが原因の風邪にも抗生物質を処方する時代を長く続けてしまいました。

その結果、抗生物質の効かない耐性菌が出てきてしまいました。

細菌は生き物です。

むやみにいじめられれば、それに対して負けないように進化していきます。





人間だけでなく、家畜にも抗生物質が使われます。

家畜のエサに抗生物質を混ぜて与えていますが、

家畜が感染症にかかるのを防ぐ目的だけでなく、

成長を促進させる目的があるからです。


抗生物質で、胃腸にいる悪玉菌を減らせるので、栄養の吸収が良くなり、家畜の出荷を早められるのです。

フランスをはじめEU諸国では、人間に対してむやみに抗生物質の使用をすることをやめていますし、家畜への使用は禁止しています。

その結果、抗生物質の消費量の26%近くを減らすことに成功しました。


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日本はどうか?

日本では、変わらず抗生物質の濫用は収まることなく続いています。

いまだに風邪で病院に行くと、抗生物質を処方します。

しかも、家畜に対しては2倍以上の抗生物質が使われているというのが現実です。

鶏、豚、牛、日頃私たちが口にしているものですよ。

このことが多剤耐性菌を発生させる温床になっています。

耐性菌の感染死は年間2万人を超えると言われます。

今の流行り疫病の何倍もの死者が出ていますが、全くメディアでは報道しませんね。

ニュースで聞いたこともないと思います。

意味はわかると思います。。。

抗生物質を作る製薬メーカー、それを大量に使って生産する食肉業界、それらの安全を管理する総務省や厚労省、らの利権。。。

もう嫌になりますね。





抗生物質の話は明日も続きます。