街中を見渡すと「ストレッチ専門店」と看板が掲げられている店舗を見かけます。
ネットや書店などでも、「ストレッチ」「体を緩める」ようなタイトルを多く見かけます。
身体が柔らかいことを目標にする人が多くいますが、それは本当に良いことでしょうか?
運動と静止のことをしっかり考えないと、それはちょっと危険なことです。
「え?」と思ったかもしれませんが、事実です。
何事も「目的」を明確にして、その目的を達成することが必要な手段を考えることが大切。
自分の静止状態を知ることは、キチンと静止していられるかどうかを認識できているかどうかです。
実際に「完全な静止」は生き物はできません。
なぜなら細胞は常に振動しているからですが、自身の身体をバランスよくコントロールできるかどうか。
解剖学的肢位を目標にするのではありません。
解剖学的肢位を取るとどう感じるかを認識し、
止められている感じがするか?安定しているように感じるか?です。
関節は柔らかすぎず硬すぎず、が重要です。
実は関節が柔らかい人は、静止時に車のデフ機能※が働いている状態と同じで、静止を維持する為に筋力を使います。
*デフとは、「デファレンシャルギア」のことを指し、日本語では差動装置と呼びます。
車にとってとても重要な働きをするパーツの1つ。
車がコーナーを曲がる時に左右のタイヤで移動距離が異なります。
カーブの外側の車輪は内側の車輪と比較すると移動距離が長くなり、左右の車輪に速度差が発生してしまいますよ。
この左右の回転数の調整を担うのがデフというパーツ。
仮にデフが付いていないと左右の車輪の回転数が同じになってしまい、スムーズにコーナーを曲がることができなくなってしまうわけです。
柔らかいと力を吸収するには有利です。
つまり運動するには都合が良い場合があります。
車のデフもコーナーを曲がるときだけ必要なだけで、静止時には必要のない機能と言える訳です。
つまり静止と運動を両立できなければ必要のない機能です。
静止しかしていない車や真っ直ぐしか動かない車にデフ機能は必要ありません。
関節が柔らかすぎるとキチンと静止することができず、静止しているだけで疲れたりします。
静止を維持する為には余計な筋肉を使わなければならないからです。
開脚ができるようになることを目標にしたストレッチをする人がいますが、目的をはっきりさせ、きちんと行わないと危険です。
私のところに前後の開脚も左右の開脚もスムーズにでき、前屈もベタっと手のひらがつくくらい可動域が大きいクライアントがいました。
一般的には「身体が柔らかい」と評価されるタイプです。
一生懸命ジムでストレッチをしていたようですが、腰やアキレス腱など常にどこか痛めていました。
開脚のストレッチや、腿の裏のストレッチをほぼ毎日何年も続けていたので、部分的にかなり可動域が広がっていました。
ある部分が柔らかすぎる、というのはメリットよりデメリットの方が多くなると考えています。
一般的な生活しかしない人にとっては開脚ストレッチはあまり意味のない動作となり危険です。
全身の各関節や筋肉が「程度が同じような柔軟性」を獲得することが大切です。
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