「筋肉を緩める」ということはどういうことか?
をきちんと考えておかないとあまり望んだ結果が出ません。
固い筋肉をピーンと引っ張ったり、グルグリと揉んだり、
まるでスーパーで買ってきた肉を柔らかくする時と同じ発想では確実にうまくいきません。
結論から言うと、「できるだけ弱く」なければいけません。
色々な考え方、アプローチ法、手技があり、目的や状況に応じてそれを選択する必要があります。
その中の一つに「リンパの流れをよくする」ことで筋肉を緩ませるものがあります。
ところが、
リンパとは何か?
どのようにできるのか?
ということを理解しないまま、ゴリゴリとリンパマッサージと称したものをやっています。
まずリンパとは何なのか?
その前に血液とは何なのか?
通称「リンパ」と呼ばれているものは「リンパ液」という体液です。
そして血液とは赤血球を含む体液のことで、酸素と栄養素を毛細血管まで運びます。
毛細血管では血管壁が薄く網目状になっており、そこから赤血球や大きなタンパク質(アルブミン)を除く体液が細胞と細胞の間に放出されます。
この体液には白血球が含まれます。
白血球の代表がリンパ球であり、この体液のことを「リンパ液」といいます。
組織液・細胞間質液とも呼ばれ、
リンパ管内のリンパ液と区別するために「間質リンパ」とも呼ばれます。
わかりやすい例だと、やけどの時の水ぶくれはこの間質リンパです。
リンパ浮腫のリンパはこの間質リンパを指します。
この間質リンパはとても重要で、細胞に酸素や栄養素を運び、
細胞から老廃物や合成されたタンパク質、分解されたアミノ酸を運び分子量の小さなものは血管に再吸収され、
大きなものはリンパ管に吸収されます。
狭義のリンパ液は「リンパ管内の体液=管内リンパ」を指します。
リンパドレナージュはリンパ管開口部のフィラメントを開き、リンパ管内のリンパ液をドレイン(流す)ものです。
筋肉を緩める方法としてのリンパ液(間質リンパ)とは異なることに注意です。
対象としているのは 間質リンパの方。
圧をかけても流れません。
組織間・細胞間の体液なのでスポンジにしみこませた水のようなもので、圧をかければ周りに体液が移動するだけになります。
ところが筋肉の弛緩と収縮によって、組織間・細胞間の陰圧&陽圧が繰り返されることによって、
陰圧時に毛細血管から体液が大量に滲み出し、
陽圧時に毛細血管やリンパ管に体液が吸収されます。
そのため外圧が細胞間・組織間にかかると血管から滲み出す体液圧に拮抗してしまいます。
ただ拡散するだけ・散らばるだけなので望んだ結果にはなりません。
できるだけ陰圧にすること、
筋肉を弛緩させること、
が大切です。
筋肉を収縮させ、陽圧にするのですが、力の強さはほとんど関係がありません。
血管から先の体液循環をさせるのは骨格筋のエネルギーなのです。
ポンプの回数によって循環されるので、強い収縮力は必要ありません。
安静時に毛細血管から細胞間にでてくる間質リンパの圧力=
毛細血管動脈側の血圧ー膠質浸透圧差
です。
また安静時に間質リンパから毛細血管に再吸収されるのは、
膠質浸透圧差ー毛細血管静脈側の血圧
です。
そういった物理的な理由でできるだけ弱い刺激で行うことが必要なのです。
繰り返しますが、皮膚表層のリンパ管にアプローチするわけではありません。
筋肉の走行に沿って、その筋肉の間質リンパの循環を促しているだけです。
そうするとその筋肉の周りの間質リンパも循環されます。
「フェザータッチ」の弱い力で、血管から出る間質リンパの流れを阻害せず、
筋の弛緩によって、より陰圧になり流れやすい環境を整えていくだけです。
圧をかけず、むしろ陰圧にすることで良好な結果がでます。
一つ、試してください。
フェザータッチ、という表現を使いましたが、ペットの頭を撫でるくらい、眠っている赤ちゃんの頬を撫でるくらいです。
女性ならメイクで使うふわふわのチークブラシが便利です。
自分の鎖骨付近、頬、首筋を10回程度撫でてみてください。
まず右側(左側)の片方だけ行います。
緩んだ変化を感じられるはずです。
これは全身どこでも同じ結果が出ます。
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