先週、ホノルルマラソンを走ってきました。

かれこれ23回目くらいになります。

暑さとキツさの戦いなのですが、やめられない「何か」があります笑


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運動するには実は冬はいい季節です。

ムダに汗をかかずに済むからです。


汗をかくと、体内の水分が外に出てしまい、運動強度を下げることになり、トレーニング的には質が下がります。




ほとんどの動物は汗をかきません。


厳密には、犬は足の裏に汗をかきますが、人間のように体全体から玉のような汗が出ることはありません。

動物の中で唯一人間並みに汗をかくのは馬だけです。


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人間が汗をかくのは気化熱により体温を下げ、体温を調節するため。


それに対して、ほとんどの動物は汗をかかないため、汗による体温調節ができません。

動物は呼吸によってしか体温調節ができませんが、呼吸による体温調節は体全身からの発汗によって行う体温調節と比べると効率が悪いのです。

そのため動物は長時間運動をすると、発生した熱をコントロールすることができなくなり動きが取れなくなります。






それに対して、発汗による体温調節ができる人間は、動物よりも長時間の運動が可能です。

実際、この能力を活かして、太古の昔には持久狩猟が行われ、現在でもアフリカ南部のサン族は持久狩猟をしています。

持久狩猟とは、獲物が体温調節ができなくなって動けなくなるまで、何十キロも追いかけるという持久力頼みの狩猟方法です。


汗をかくことができる人間は動物の中で『最も長距離を早く走れる』のです。



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私は30年近く素人レベル・ジョギングレベルですがマラソンをやっています。

年に1〜2回フルマラソンのレースにも出続けています。

マラソンが強い人たち、といえば最近ではケニアなどのアフリカ勢です。

なぜなのでしょうか?




 

類人猿とヒトの最も古い祖先(ホモ・エレクトス)の比較から、人類は歩行や走行に都合のいいからだに進化してきたことが2004年のNature誌に発表されました。

それ以降、人類学の分野でさらに興味深い研究が報告されています。

中でもケニア人の歴史的発育・発達や伝統的生活習慣からみたケニア選手の強さの秘密を見てみましょう。

 

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ケニアで発見された1,500万年前の人骨はエレクトスから進化し、さらに現代のケニア人と著しく酷似していました。

類人猿は1日3㎞歩くのがやっとでしたが、エレクトスは10~15㎞/日歩いていました。

それは、脚が長くなり足の指が短く、しかも足の裏に土踏まずが形成されたこと、さらに脚の骨と関節が著しく発達したことにより、安定し、力強く、しかもコストが少ない直立二足歩行が可能になったおかげです。

 


 

ケニアは赤道直下の高所地帯に位置するため、暑く空気がいつも乾燥しています。
 

その気象条件の下、ケニア人は狩猟採集民族として進化してきました。

ケニア男性の主な仕事である狩猟法は「残り肉漁り」と「持久狩猟」で、

前者は夜、肉食獣が食べ残した肉をハイエナやハゲワシが見つける前の早朝に素早くとって逃げる狩猟法。
 

後者は汗腺の発達していない小型の主に草食動物を疲れと熱中症(4脚動物は直射日光が当たる面積が大きく、汗腺が発達しておらず、浅速呼吸で暑さに弱い特徴がある)で倒れるまで追い詰めるもの。





そのために狩猟者に求められる能力は、長距離(最長約30㎞)を歩いたり走ったりしながら踏破できる能力と、

他の獰猛な肉食獣を巧みに避けながらあきらめずどこまでも追跡する強い精神力と賢さ、狩猟前後に飲み水を確保する準備を怠らないなどの豊富な経験です。

 


 

ケニア人のからだは暑くて乾燥した大地で伝統的な狩猟採集する生活に適応するように進化を遂げてきました。

例えば、熱の発散を容易にするため身体の表面積の比率が大きくなるように、背が高く、手足が長くほっそりした体型になっています。





さらに、温かく乾いた空気を鼻から吸い込むと鼻腔内の粘膜に触れてできるだけ湿気を帯びた空気が肺に入るように適応しています。
 

開けたサバンナで狩猟するためには捕食動物を長時間追い求めるだけでなく、時には大型の肉食獣から逃げるために走る能力もまた大きな武器でした。

従って、狩猟民族として発達したからだは、形態だけでなく機能的にも長距離を走るために都合よく進化してきたのです。





例えば、狩猟民族が疲労をできるだけ少なくして長く走ることを可能にしているのは、一歩一歩得られる弾性エネルギーを蓄積、放出しながら走る能力に長けていることです(伸張-短縮サイクル:SSC)。

その動きを可能にしているのが長く強靭なアキレス腱。
 

さらに、腰、膝、足首の関節を鞭のようにしならせながら足を大地に振出して着地し、しかも、着地の衝撃を和らげるために土踏まずが著しく発達しています。



 

もう1つの特徴は、不整地での転倒やねんざを防ぎ、体幹の前後左右の揺れを小さくしている大臀筋(深層筋)の発達。

さらに、頭を安定させる項靭帯(首の後方に位置する靭帯)や内耳にある平衡感覚器官である三半規管の優れた働きによって、安定した視線が保障されています。

これはマラソンのレース中、石畳や不整地などに変わっても、東アフリカのランナーの身体(頭)動揺はほとんど変わることはないですが、




それとは対照的に日本人や欧米の選手の頭は大きく揺れます。

下の写真を見比べてください。

足の形、全く違います。



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こういった環境により獲得してきた遺伝レベルの差が、競技力の差になっています。

なかなかこの差を練習や「根性」で埋めるのは難しそうですね。

今年のホノルルマラソン優勝者もケニア選手でした。