肩こりや腰痛は、人間が2本足で立つようになったための宿命だ


と真面目な顔で説く学者がいて、多くの人もそう思っています。

4つ足なら体全体のバランスがうまく取れるのに、2本足で立ち上がったために一番上に重い頭があり、それが無理な力を掛けるため、というのがその根拠のようです。





それっぽくも聞こえますが、これは「機械が複雑になったから故障が増えたのだ」という論法と同じで、故障をさせないように手入れを怠った弁解にも聞こえます。

もし2本足が原因なら、全人類が肩こりと腰痛に悩まされているはずですが、実際は悩んでいる人が全員ではありません。

つまり、2本足で生活するための要件を怠ったから、ということに他なりません。





同じような話で「膝が痛いのは膝の周りの筋肉が少ないからだ」「膝が痛いのは体重が重いからだ」というものがあります😅

だったら、「筋肉の少ない子どもは膝は痛くなくて、ボディビルダーなのに膝が痛いのはなぜ?」ということになります。



画像 36





機械が複雑になるということは、それだけ「性能が向上する」ということです。

人間は2本足になったために、手が使えるようになり、同時に大脳の機能も急速に発達しました。

大脳へ血液を送るためには、立っている方が心臓の負担は増大します。

しかしそれだけ静脈の環流も急速になり、脳細胞の働きは活発になります。

四つ足、または、横になっていることは心臓も休し大脳の活動も低下します。

横になることが休息として大切なのはそういう意味もあります。

体力があるない、ではなく、日中に「骨休め・心臓休め」として横になることは体のケアとして大事です。

もちろん座ったままでも休息はできます。

しかし、座ったままだと足に下りた血液が環流しにくくなります。

上に上った血液は重力で心臓に戻りますが、下に行った血液は「筋肉のポンプ運動」がないと静脈を溯流しにくいのです。

そして下半身の鬱血は上半身の血行も停滞させます。

肩こりや腰痛は、むしろ足の使用が少なくなったために考える方が妥当です。





現代は、足を使わぬ生活がますます加速しています。

歩くことは確かに大きなエネルギーを消費します。

しかしそれが二本足で立つようになった人間の生活を維持していく上での「大切な要件」になっています。



画像 33




人間の出生の始まりは、植物と同じく与えられた栄養をじっとして受け取るだけ。

そのうち人間的な手の運動を始めて、これが脳の働きを活発にさせます。

ついで、立って歩くことに努力の大半が傾けられます。

動物としての『特権』を獲得していきます。

大地の束縛を離れて「移動」することで、多様な変化に対しての適応力を育てていくのです。

これが『大脳の大きな発達』に寄与しています。

歩かなければ「ボケる」などと言われますが、発達の過程を振り返ればその通りです。

画像 35