私がスタジオインストラクターからパーソナルトレーナーに転身して16年経ちます。

当初、パーソナルトレーナーという言葉はまだ一般の方には馴染みが薄い時代でした。

一言でトレーナーと言っても、それぞれが得意にしていることや、対象としている人たちは様々で、本当に幅広くカテゴリーが存在している状況です。

一般人の感覚だと、ダイエット、シェイプアップ、ボディメイク、あたりが最初に思い浮かぶかもしれません。

パフォーマンスアップ、競技力アップ、大会で成績を残したい、といったスポーツ選手を指導するトレーナーもいますし、

健康になりたい、体力をつけたい、動きをよくしたい、 痛みや怪我を無くしたい、といった人たちを指導するトレーナーもいます。

私のクライアントは主に後者の方たちが多いですし、中高年の「健康作り」の後押しをしています。





人の体を扱う仕事なのですが、人に何かを教える、という仕事でもあります。

『教える』ということは、「できないことをできるようにする」ということです。

「こうしてください」「ああしてください」と言うだけなのは、「教えたことにはならない」と、長年教えをいただいている先生から10年間言われ続けています。



大阪のご自宅にラボを構える先生のところへ直接伺い、ご教授いただくようになって10年が経ちます。


魚住廣信先生のプロフィールはこちら




知る人ぞ知るスポーツトレーナーの先駆けで、現在の日本のトレーナーの礎を築かれた方です。




自分の知識や技術にしっかりした「芯」が欲しくて、教わるならこの先生しかいないと思ったのが10年前。

続けていてわかったことは、



「学ぶ」とは「考え方」を教わること。


そして、「この人だ、と思う人にずっと付いて、学び続けること」。

さらに、「何度も何度も同じことを繰り返すこと」でしか、人は本当に理解できないということ。







先生のところで教わっているのは「考え方」。

実際、ハウツーや技術的なご指導もいただくのですが、根本は「考え方」です。



〇〇とはどういうことなのか?(本質の追求)

〇〇とされているが本当にそうなのか?(疑問を持つこと)





要約すればこの2点。

この2点無くして、質のアップは絶対に叶わないと気づきました。





「世の中ではこうだと言われているが、本当にそうなのか?」

そう考えられる人はなかなかいません。

例え、一瞬そう思ったとして、事柄を色々と調べて、考察し直す人はもっといません。

「考えること」をしない人が多く、そして「自分は考えていない」ことにすら気づいていない人、がほとんどです。

やっていることに何の疑いも持たず、

その「目的」すら考えず、

ただやっていることが多いので、

思ったように変化しない・結果が出ないのです。


そしてもっと悪いことに、

その変化しない・結果が出ないことに、さほど不満も感じずにいる人が実に多い。




「こんなに頑張っているのに、なぜ変わらないのか?」

「こんなに時間をかけているのに、どうして結果がついてこないのか?」


それに対して、

「やっていることが合っていないからなのでは?」

「やり方が良くないからなのでは?」

「そもそも考え方が間違っているからなのでは?」

「もっと別の方向から考える必要があるのではないか?」


と、自ら疑問を持てる人でなくてはなりません。


「疑問」を持たなくなったら、そこで終わりです。


人は完璧、完全、ということは決してないのですから、

まだ別の方法、別の見方、別の考え方、があるはずなのです。



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先月、先生がこの特別書籍を自分で制作、出版されました。


購入していただいた方のところにも届いて、読まれているかと思います。

読み進めていくうちに、先生のところに行って「実際のところ」を感じ取りたくて、先日伺ってきました。

正直、先生に会ったことのない人、先生のお話を聞いたことがない人、先生のところで学ばれたことがない人、は「本当のところ」はわからないと思います。

もちろん日本語で書いてありますから、「字面なりに」は理解できるでしょう。




先生の考え方は、世間一般の人からすれば、固定観念で縛られた人からすると「独特」です。


・どうしたらもっと単純に

・どうしたらもっと簡単に

・どうしたらもっと楽に

できるだろうか?という思考です。




人の体をいろいろな角度から見て、触れて、動かして、指導されてきた経験と、

膨大な情報量、

そして自分の体であれこれたくさん試し、

さらにその「独特」な思考から導いたハウツーがあります。






書籍の中にはいくつも「こういう場合はこうやればよい」とハウツー的なことも書かれています。

でも、ほとんど実際のところはわからないはずです。

本の通りにやって、少しは変化を感じられるかもしれません。

でもそれ止まりです。


10年先生について継続している私でも、

先生の感覚、先生の本当に意図しているところ、はわからないことがあり、

感覚を肌で知りたくて押しかけていきました。


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結局のところ、

『理屈はわかった。では、それをどうやるのか?』

に尽きるからです。




例えば単純な「しゃがみ込み」についても、

・目的は?
・足幅は?
・足の向きは?
・しゃがむ深さは?
・しゃがみ込んでいくスピードは?
・テンポは?
・動作中の意識はどこ?

その動作を教える側では、

・サポートの仕方は?
・サポートする人の位置は?
・サポートの手の当て方は?
・サポートするタイミングは?
・どういう言葉で意識させるか?
・どういう声で伝えるか?




もう、挙げたらキリが無いほどです。



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最近ではYouTube動画も数多くあり、書籍やメディアには情報がたくさん出ています。

ハウツーには事欠かない状況です。

でも、やはり「どう」やるのか?という詳細なことまではわからない。

伝えている側も実は「わかっていない」からです。

伝えている側も「(悪い意味で)適当」だし、受け取る側も「(悪い意味で)適当」だからです。




これでいいのか?

これよりいいものはないのか?



その時の一瞬の満足はあっても、すぐその「疑問」を持ち出さないとそこで止まってしまいます。


常に「疑問」を持ち続けなければばならない、ということをこの10年で先生から教わっています。





先生がこの書籍をまとめられたのは数ヶ月前。

すでにそこを超えて「続編があるのよ」とお話しされていました。

軽い驚きとともに、さすがだ、と。