『導引』とは2000年をさかのぼる中国、西漢時代に「呼吸運動」と「体躯運動」を合わせた健康法です。

医療体操、といってもいいものです。

1974年に湖南省長沙の馬王堆三号墓から出土した図があります。


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横100cm✖️縦50cmの大きさで、
44人の人物が描かれていて、老人から若者まで、男女の比率は半々です。

その服装から、漢代の平民たちの姿と見なされています。

当時民間で流行っていたようです。





44の動作と、横には動作の名称と養生効果を記した文字が書かれています。

44の動作は、

・呼吸運動
・肢体運動
・器械運動


に分類できます。


この中には、現在のラジオ体操やヨガにもみられる動きがあります。

また、中国の蹴鞠(けまり)に似た動作もあります。





「卯滹」と呼吸運動が書かれています。

胸を拡げ、上を見上げ、両手を上後部に回し、腹を引き締めて深呼吸。

肢体運動は、ストレッチ、屈伸、ねじり、跳躍などの動きがあります。

棍棒(こんぼう)や砂袋、球などの器械と共に描かれている図もあります。

例えば、「堂狼」は皿状の器械を利用した運動。

腰をねじり、両手は空に向けて飛びはねる、目は皿を見る。

長袍を着用した女性は、ボール運動をしています。

ボールは蹴鞠で、現在でいうサッカー。





導引図の中には、色々な動物の姿態を真似ているものがあります。

鳥、熊、猿など、保健強身だけではなく、五官四肢の治療や消化器系などの疾病治療効果もあります。





現代では、導引図の中の動きを取り入れて「中国第5ラジオ体操」が作られました。




早朝に各地公園でラジオ体操をしていますが、この「中国体操第5」をやられているところもあるようです。


ブログ読者にもいるかもしれませんね。

そもそも、見てもらえばわかりますが、日本のラジオ体操にそっくりです笑






荘子は、


『吹呴呼吸、吐故納新』

古いものを排出して、新しい気を取り込み、


『熊経鳥申、為寿而已』

熊や鳥、猿の姿態を真似て養生長寿をはかれ。



という言葉を残しています。






注目すべきは、導引の内容もさることながら、導引を行う上での注意点です。

現代医学の見地からもとても理にかなっています。



・伸屈(いわゆる屈伸運動 関節の曲げ伸ばし)

・俯仰(首の前・後屈)

・行臥(立って歩くこと、横になること)

・倚立(もたれて立つ、ストレッチ)

・躑躅(てきちょく:2、3歩行っては止まる)

・徐歩(ゆっくり歩く)

・吟(詩歌を唱える、間接的な口腔体操)

・息(休息、休むこと)






導引を行うときの注意点


●形式にとらわれず、自然に任せるのがよい

●導引を行う時刻・場所・姿勢・動作には堅苦しい決まりを設けない

●時により、場所により、人によって異なるものであってよい

●病気なら行わない

●(風にあたって体を冷やすほどびっしょり)汗をかくまでやらない

●極端に走らず、適度を守ること




他にも、

・恋愛もしましょう

・欲望を否定することはないけれど節度を守るように

・朝起きたら歯磨きをしましょう


と、本当に21世紀の今でも十分通用する臨床的意義があります。





昔の人の知恵や知識は、本当に目を見張るものがあります。

新しいものは良くて、昔のものはダメで役に立たない、というのは間違いです。

『最新の〜』といったワードに頭ごなしに信じて、飛びついてしまいますが、昔から引き継がれているのもには、必ず意味があります。


ジムで提供されているものより、ラジオ体操を毎日コツコツ行う方が効果的かもしれませんね笑





これは私が好きな「ムー先生」の導引養生功です。

一緒にできます。

普段太極拳や気功体操などをされている人ならすぐできると思います。







今日は日曜日。

猛暑がまだ続いていますから、夏バテ気味の人もいるかもしれませんね。

なんとなくダラっと過ごさず、朝ラジオ体操をして、メリハリのある休日を!