動き続けて、筋肉がキツくなってくると「乳酸が溜まってきた、、、」という人はまだ多くいるようです。

以前まで、疲労の原因は「乳酸が溜まること」というのがある種「常識」でした。

乳酸は、体内で糖質を代謝してエネルギー源として利用するときに生じる物質です。

この「乳酸=疲労物質」とまだまだ信じている人が多いのですが、そうではありません。

今からこの「常識」を書き換えてください。


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乳酸、と「酸」という漢字が使われているので、

筋肉中で濃度が高くなると、筋肉が「酸性」に傾き、収縮弛緩がしにくくなる、ゆえに疲労した、と自覚する。。。 

そんな説明をさらたり、理解してしまっているようです。

しかし、カエル・ラット・マウスなどの実験で、

「乳酸を投与しても、何事もなかったかのように運動をし続ける」

という結果が次々と発表され、

「乳酸が溜まった筋肉ではパフォーマンスは低下するものの、乳酸がパフォーマンスの低下をもたらすという証拠にはならない」と結論が出ています。


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また、「乳酸が増えると酸性化が進む」というのも思い違い。

筋肉中のpHは一定範囲内に保たれています。

運動によって極端に酸性に傾くことはありません。

むしろ最新の研究では、「乳酸の増加とそれに伴う若干の酸性化は筋肉の活動を促進する」ということがわかっています。

運動によって、確かに筋肉中では乳酸の濃度が高くなるものの、パフォーマンス低下とは関係がない、ということです。




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疲労を感じる直接の原因は何か?

それは『活性酸素』


脳内で神経細胞を攻撃している「活性酸素」が、疲労を感じる本当の犯人です。

「活性酸素」という言葉はもうかなり耳馴染みになっていると思います。

近年、老化やシミシワ、白内障、生活習慣病などの原因になることがわかっていて、

『抗酸化』作用のある食材を摂る、など意識高く対策を講じている人もいるでしょう。





活性酸素は、生きている限り体内で生まれてしまいます。

呼吸で取り入れた酸素が体内で変化して、他の物質を「酸化(錆びること)」させる力が強くなった酸素の総称を言います。

詳しくはまた記事にしたいと思いますが、知っておいて欲しいのは、

『呼吸で取り入れる酸素のうち、1 〜2%はこの活性酸素に変化する』ということ。

人が呼吸をしている限り、活性酸素は体内で常に発生します。

ゼロにはなりません。



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活性酸素は他の物質に対する反応が高く、『強力な酸化』作用を持ちます。

物質を構成する最小単位の「原子」では、原子核の周囲を電子が回っています。

活性酸素は、この原子の電子を奪います。

これを「酸化」と言います。

電子を奪われた原子は、電子を失ったので不安定になり、本来の機能を果たせなくなります。

するとその電子は、他の原子の電子を奪おう(酸化させよう)とします。

これが「ドミノ倒し」のように連鎖していきます。

結果、細胞や組織を壊すのです。



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活性酸素は、体内で毒になっているばかりではなく、有効に活用されることもあります。

免疫システムを担っている白血球は「活性酸素を放出して体内に侵入したウイルスなどの外敵」を攻撃し、無力化させています。

活性酸素が「外敵」をやっつけてくれ、私たちの体を守ってくれています。



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何でもそうなのですが、全て「2面性」があります。

全て100%が「善」「良いもの」、

全て100%が「悪いもの」、

というものはないのです。

いくら体に良いものでも、摂りすぎたり、やり過ぎれば、『毒』『悪いもの』として作用します。

見方が変われば、意味も作用も反転するのです。




乳酸がいい、悪い

酸化がいい、悪い

活性酸素がいい、悪い

という「2極論」になるのではなく、両側面をきちんと理解し、上手に「活用」すること。

これが考えられる脳を持った「賢い人間」ではないかと思うのです。


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