人を許す、ということは「利他的」ではなく「利己的」な行為です。

意外に思うかもしれません。

*利他的:自分の利益を犠牲にしてでも、他人の利得を優先するさま
*利己的:自分の利益だけを追求するさま


相手を許す、ということによって恩恵を受けるのは、実は相手でなく自分です。

なぜなら、問題を引きずって悶々としているのは、相手ではなく、自分自身だからです。




例えば、私を傷つけた人がいるとします。

その人が、それを悔やんで辛い人生を送っているか?

もちろんそんな人もいるかもしれませんが、そんなことはすっかり忘れて普通に楽しく生きている可能性の方が高いと思います。

一方、傷つけられた私は、ずっと心にしこりを抱え、相手を恨み、悶々としながら生きている、としたらこんな理不尽なことはありません。

だから、相手を許してしまう方がいいのです。

癒されるのは心の傷だけでなく、身体にとってもそちらの方がいい。

感情、特に「怒り・恨み・憎しみ」の3つは自律神経、免疫機能に大きく影響を与えます。





相手を許したとします。

相手には何かを期待してしまうと思いますが、どんな反応も期待すべきではありません。

相手も謝ってくれる?相手が詫びてくれる?

そんな絵にかいたような美しい展開、、、になったら最高でしょうが、そんな風にはいかないことがほとんどでしょう。

でもそれが普通だし、それでOKです。

相手を許すことによって、相手から謝罪をもらうことが目的ではないからです。

相手を許してしまうことによって、私自身の心の自由と身体の健康を取り戻せます。




『感情』は人の心も身体もよくもし、悪くもします。

『感情のみ』がそうする、と言ってもいいかもしれません。

感情や状態を表現する慣用句は全部「内臓」が関係します。


・ムカつく=例えば「いやな相手がいると胃がムカムカする」

・腹が立つ=イラつくと胃が立ったような感覚になる

・はらわたが煮えくり返る=小腸が異常に動く状態を表す

・肝が据わっている=肝臓が微動だにしない状態を表す

・度肝を抜く=しっかりとした肝臓に穴が開いた感じを表す

・肝に銘(めい)じる=肝臓に確認して二度とミスをしないという表現

・血が騒ぐ=血を作る脾臓が動いている状態

・胸が痛む=ツラい事などで心臓が痛い状態

・頭に来る=丹田(小腸)にあった氣が頭に上がってくる状態

・腑に落ちる=脳で考えていることと内臓で考えていることが一致する

・胸が詰まる=許容できず呼吸(肺)がしにくくなっている状態


など、挙げたらキリがありません。

それくらい「内臓」と「感情」は切っても切れない関係にあります。




東洋医学では内臓と心のあり方を重要視します。

例えば、東洋医学では「血圧が高い」のは心臓が悪いのではなく、心臓を悪くしている原因を治療しようとします。

人間は高等動物で、脳が体を支配している、と思われています。

実際のところ、本当は「内臓」が生物の「心」を支配しているのです。


内臓を良くすること=心を穏やかに強くする、ということになります。


 

『内臓を良くする』、には運動や筋トレ、ヨガ、マラソンなどではできません。

心を穏やかに、強くする=『感情をコントロールすること』=『内臓を整えること』




内臓を整えるには、

・内臓にとって正しい食事、

・正しい生活習慣(睡眠・入浴・起床)

これ以外にありません。





内臓が整えば、感情も穏やか、心も強く、いられます。