人間に備わっている時間割があります。

決して感覚的なものではなく、時を刻む時計が「物理的」に存在しています。

例えば「腹時計」という言葉は「胃腸や肝臓の細胞がつくり出すサイクル」のことを指しています。

時計は細胞の中に存在していて、脳や皮膚、血管や臓器など、ほぼ全身に分布していると言われています。


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この仕組みはヒトに限らず、虫や動植物、菌類やバクテリアにも備わっています。

植物の葉や花が時間によって開閉するのを見たことがあると思います。

例えばアサガオは、日が照り始めると咲くものだと思われていますが
実は真っ暗な環境下でも時間が来たらちゃんと咲き始めます。

逆にずっと光を当て続けていても決まった時刻に咲きます。

開花を司っているのは、日の光ではなく「時間」なのです。

なぜなら、太陽だけを頼りにしてしまうと、悪天候や日陰の環境に適応できないからです。

花を咲かせられないというのは、植物にとっては死活問題なので、

太陽に頼るより時刻をカウントして朝の訪れを把握する方が確実だからです。




生物に時計が備わっていることは古くから知られていましたが、

近年、人間の医療や健康作りにも、この時計の活用をすることが注目されています。

 
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地球の自転がもたらす1日24時間という周期に合わせてサイクルを作り出す機能を「概日(がいじつ)時計」と言います。

また地球の公転がもたらす1年365日という季節性の周期を把握する機能もあり、これを「体内カレンダー」と呼びます。

桜の開花がその典型。

生き物の体には、外部環境の変化に内部を合わせていくシステムが内蔵されています。






体内時計のメカニズムを支える時計遺伝子は、生物に欠かすことのできないタンパク質の合成を設計します。

タンパク質が合成され、一定量以上溜まると、今度はその合成が止まります。 

そして一定量以下になると、再び合成が始まります。

これが24時間周期で行われています。

時計遺伝子は主だったものでも10種類以上存在すると考えられていて、今でも続々と発見されています。

この時計遺伝子の発見によって、医学のあり方が変わってきました。

病院で行われている手術は、そこに勤務する職員の都合で決まりますが、それに対して疑問はなく当然だと思います。




そこで発想を変えてみます。

手術を受けるのは患者なので、患者の人間として持っている時間割に手術の時間を合わせれば、患者の負担を減らすことができます。

例えば、肝臓の動きは14時に最も活発になることがわかっています。

なので、肝臓の手術を14時に設定すれば、術後に回復しやすくなります。

患者の負担を大幅に減らせるだけでなく、それをケアする医療スタッフの負担も減ることになりますね。

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以下は各臓器の修復時間です。

それぞれの臓器によって、休む時間が違うのです。

人体は不思議ですね。

大腸が5:00〜7:00というのも頷けます。

体内の毒素を排泄しよう(そして大腸として休息を取りたい)とするわけですから、

朝の排泄習慣は大事ですね。




器官修復の時間(休息の時間)
03:00~05:00
大腸05:00~07:00
07:00~09:00
脾臓・膵臓09:00~11:00
心臓11:00~13:00
小腸13:00~15:00
膀胱15:00~17:00
腎臓17:00~19:00
心包19:00~21:00
三焦21:00~23:00
胆嚢23:00~01:00
肝臓23:00~03:00