死という現象を物理学的に見ると、


「形あるもの」から「形ないもの」に変化する、


ということができます。





私たちは「粒子」の集まりでもあります。

形のあるものは、時間の経過とともに、その姿形を次第に変えていき、やがて消滅していく運命にあります。

基本、それに例外はありません。 

それは宇宙がビッグバンという大爆発を出発点としてできあがっていることに深く関係しています。

  



ざっくり言うと、遠い昔、ものすごい密度で凝縮されていた宇宙は大爆発(ビッグバン)を起こし、その瞬間から、周囲へ向かって広がり始めました。

今でも拡大し続けています。

宇宙膨張論といわれます。(考えすぎると頭がウニになるので注意




「拡散」は宇宙が持って生まれた性質です。

「拡散」は本質です。 

なので、宇宙に存在するものは全て、この性質を持っているのです。

私たち生き物も例外ではありません。 




例えば、お風呂の湯気。

フタを開ければ、湯気は浴室全体に拡散します。

それも「等しく」です。

どこかだけ1点に集まっていくことはありません。

割れたガラスのコップも、散らばるだけで、自然に集まって元に戻ることはありません。

あらゆるものが生成から消滅へ至るプロセスには、『拡散』という宇宙の大原理が働いています。

物理学では「エントロピーの法則」と呼ばれます。

1_entropy




2_increases-in-entropy

 

自然界では、この宇宙の「拡散」の大原理が働くのですが、一つだけ、この原理に従わないものがあります。

『生命』です。





生命は、生きている間だけはその法則に逆らい、常に秩序ある状態を自分で作り出します。

常に「恒常性」をキープし、『自分であろう』とするのです。



非常に不思議です。

「モノ」と「命あるもの」の大きな大きな相違点です。

でも、これも「命ある時だけ」なのです。




『死』の瞬間から、秩序の崩壊が始まり、拡散の大原理に従っていくことになります。

宇宙に帰っていく、ということになります。




死は、原理の元、本来の場所に戻っていくことに他なりません。

怖いことでも、忌むことでもありません。